第86番 成願寺


牛沢の十字路のすぐ南にある。境内は広く、右手にゲートボール場が広がる。山門の先に、本堂、
右手に鐘楼、そして左手に観音堂が建っている。 均整のとれた伽藍配置である。

石柱門から右手に広場を見ながら、参道が山門まで続く。山門の塀の脇には、江戸中期から末期までの
読誦塔や観音菩薩像、二十二夜供養塔など、 多くの石造物が並ぶ。

また、境内には元禄10年(1697)に造立された高さ3メートル余り、 市内最古の石造地蔵菩薩がある。

左手の観音堂は、歴史を経たこぢんまりしたもの。かつてこの近在で観音信仰が行なわれていたことを
思わせる。鐘楼も堂々とした建物。昭和63年鋳造の梵鐘を吊るす。

正面に建つ本堂は、雄大なもの。入母屋造りの屋根が、空高くそびえる。隣接して庫裡が造られている。

この寺は、文永5年(1268)、新田氏の臣、牛沢次郎高綱の開山。その他は不詳。明治期の学校設立の
風潮によって、安楽寺に開校した不倦舎の牛沢分校が、同7年、成願寺に設置され、現在の沢野学校の
前身となった。

住職はいるが常住しておらず、長勝寺が管理している。

<巡礼案内>
 牛沢山 勧農院 成願寺(じょうがんじ) [高野山真言宗] 本尊・十一面観音
 〒373―0833 太田市牛沢町52 無住

<納経所>
 長勝寺(83番) TEL:0276-38-0312

巡礼歌 『宵の間の 絶え降る霜の 消えぬれば 後こそ鐘の 勤行(ごんぎょう)の声』