第33番 安楽寺


安成寺の東側に、道路を隔てて墓地が広がる。 そこが、かつての安楽寺のあった場所である。

花香塚は非常に美しい名前であるが、この地区はかつて新田荘と淵名荘の境に位置していた。
そのため、中世において、その両荘園のいずれかに属したり 離れたりすることを繰り返していた。

当時、その場所に、安楽寺と願成寺が存在していたが、昭和23年、安楽寺は願成寺と合併して
安成寺という寺になった。新しく作られた安成寺の初代住職は、 ここの安楽寺の住職であったという。

現在、安楽寺の跡地は墓地ばかりで、建物は残っていない。敷地一面に墓地が並んでいる。
貞治2年(1363)の古文書に、安楽寺のことが記載されているため、この当時からの歴史ある寺院で
あったと考えられる。かつて安楽寺にあった薬師如来が、現在の安成寺の本尊となっている。

墓地の一画に、三方、水の張った弁才天が祀られている。小高く土を盛ってあり、そこだけが聖地の
ようである。かつて華やいでいた寺院が跡形もないことに対して、憐憫の情を感ぜざるをえない。

合い向かいの道の角には、赤城神社が淋しく建っている。

<巡礼案内>
 実相院 安楽寺(あんらくじ) [真言宗豊山派] 本尊・薬師如来
 〒370-0345 太田市新田花香塚町864

<納経所>
 安成寺(32番) TEL: 0276-56-8266

巡礼歌 『澄む水を 汲めば心の 清滝寺 波の華散る 岩の羽衣』