第25番 法楽寺


松原橋を越えた桐生の国道50号線の脇に案内板が出ている。その案内板に従って
賀茂沢沿いの細い路地を進んでいくと、法楽寺の裏手に突き当たる。

目の前には神仏分離令で別々になった賀茂神社があり、その境内から“句碑の道”が
山頂まで続く。散歩がてらに20分ほどの山道を巡ると、さわやかな気分になる。

また、近くには国の重要文化財になっている“彦部家住宅”がある。長屋門を入ると、
正面に母屋、右手に冬住み、裏手に文庫蔵、穀倉などが建っている。これらはすべて
江戸時代に建築されたもので、平成7年に解体やそれに近い修復工事が行われている。
ボランティアが詳しくその歴史を説明してくれるので、時間が許せば立ち寄るのもよい。

法楽寺の正面に回ると、数段の石段の先に簡素な山門が建つ(写真上)。その奥に
入母屋造りの本堂が堂々とそびえている。

昔、八幡太郎(源)義家が、奥州の安部貞任を討ったお礼に寺の前に舞台を造営して
法楽を舞った。そのことにちなんで、八幡山、法楽寺と名づけたという。

寺には、円鏡に立体的に懸仏を現した市指定重要文化財の“木彫り懸仏三体”が保存
されている。

また、本尊は歴史的には聖観音であるが、現存するのは、十一面、千手、不空羂索を
合わせたような奇妙な格好をしており、現在では十一面観音と呼ばれている(写真下)。

帰りは、松原橋を越えたところの日帰り温泉、ゆららの湯にのんびりとつかるのもよい。

<巡礼案内>
 八幡山 法楽寺(ほうらくじ 真言宗豊山派)
 本尊:聖観音
 〒376-0013 桐生市広沢町六丁目825
 TEL:0277-54-4457 住職:山田亮賢

<納経所>
 同寺 TEL:0277-54-4457

巡礼歌 『後の世を ただ幾たびも 願うべし 仏の誓い 末は鴨沢』