第10番 西光寺


9番から上武大橋に向かって進むと、平塚の信号がある。その信号を東に曲がる。 左手の
利根川の堤防のほとりに、竜巻で倒壊した天人寺の真新しい本堂が建っている。西光寺はその 西側にこぢんまりと立つ。

お堂は東向きで、屋根の最上部には、西光寺の文字が刻まれている。境内は広く、本堂の
裏手に新しい墓地が造られ、周囲には多数の墓地が広がっている。

しかし、天人寺の華やかさに比べ西光寺の境内には淋しさが漂い、人々から忘れられたかの
ような存在である。

寺伝によると、永禄元年(1558)、玄海によって開山される。

かつては西南の方角にあったが、利根川の洪水のため寺域をなくした。現在の本堂と庫裡は、
昭和6年、再建された。

本堂の南側の一画に、市の重要文化財に指定されている馬頭観音塔が立っている。この塔は、
農作業や運行に必要だった馬を供養するため立てられたものである。高さ167センチメートル、縦横
それぞれ60センチメートルほどあり、県内で最も大きい。

正面の“馬頭観世音菩薩”の文字は、天保年間(19世紀中期)に刻まれたものであり、左側の
側面には、かつて銅街道の終点で、河岸の船運で繁栄したことが刻まれている。この塔は、近在の
問屋や回送業者の寄付で建てられた。

<巡礼案内>
 寂光山 普門院 西光寺(さいこうじ) [真言宗豊山派] 本尊・大日如来
 〒370-0132 伊勢崎市境平塚1224 無住

<納経所>
 総持寺(9番) TEL:0276-52-2194

巡礼歌 『阿波の国 一宮とは 夕たすき かけてたのめや この世後の世』