最後の遺言

質問1:遺言って、どれが有効なの?

ある男性、奥様以外に好きな女性ができて、密かに会っています。回を重ねるうちに、
「俺が死んだら、財産を全部君にやるよ」といって、遺言書を渡しました。

それは、公証人が作成したれっきとした有効な遺言書。女性をうれしくなって、今以上に
男性に尽くしました。

数年後、その男性がある病気で亡くなりました。それを知ったその女性、「あの人の財産は、
全部あたしのものだわ」と、勇みこんで男性宅へ。

すると、そこには、自分と同じ年恰好の女性が、5、6人すでにいたのです。そして、口々に、
「あたしはあの人から遺言書をもらっているのよ」と言っているのです。

さて、これはどうしたことでしょうか。

遺言書というのは、その内容を破棄したい場合、どうすればいいのでしょうか。それは、
新しいものを作ればよいのです。ですから、何通か違った内容の遺言書があったとしたら、
日付の一番新しい遺言書が有効なものとなるのです。

この場合、男性は亡くなる直前に、「自分の妻に対して、財産を全部やる」という内容の
遺言書を作成していたのです。したがって、一番日付の新しいのは、自分の妻に対する
遺言状。ほかの女性のものは、全部効力がないのです。ほかの女性たちが悔しがった
ことは、言うまでもありません。

このように、遺言書は存在していても、効力のない場合があります。相続が起こったとき
には、他にも遺言書が作られていないか、また日付が最も新しいかどうかを注意をする
必要があるでしょう。