文書の偽造

質問9:勝手に押印したら、いけないの?

「ぼくは補助者をやってます。将来、司法書士なりたくて、勤めているんです。

司法書士って、ほんとにいろいろな書類を扱うんですね。その中で、登記の申請をする
ときに必要となるのが、委任状なんです。

これは、ぼくたち補助者が作りますが、署名は本人に書いてもらう必要があります。
もし、本人に代わってぼくたちが勝手に書いたら、それは無効です。文書を偽造した、
ってことになるからなんですね。

これは刑法犯罪になります。“権利義務や事実の証明に関する虚偽の文書を作成した
”ことになって、“3月以上5年以下の懲役”になるんですよ。

それに、このような書類で登記がされても、あとで裁判になって、登記が抹消される
こともあるんですよ。だから、署名が必要な書類は、必ず本人に書いてもらわなくては
ならないんです。

ちょっと前には、銀行などから抵当権の抹消の依頼を受けたとき、お客さんの名前を
補助者が委任状に書き入れたことがあったそうですが、それも今ではしてはいけない
ことになりました。このように、今では書類の作成がものすごく慎重にされているんです。

相続の登記の依頼のときには、遺産分割の協議書や委任状など、いろんな書類を
作りますが、ぼくたちは委任状に必ず署名と押印をしてもらっています。

このように慎重にしてこそ、真正な登記が担保されて、国民の権利保全に役立って
いるのですね」