桐生伊勢崎線沿いの下山薬局の隣地に墓地が広がる。 その片隅の小さなお堂が
福寿堂である(写真上)。 墓地内にある法華経の千部読誦書写という供養塔に、福寿堂という
名前が明記されている。
お堂は昭和54年(1979) 築のこぢんまりとしたもの。従前のお堂は2倍以上広く、
欄間や柱などに見事な彫刻があったという。
正面には鰐口が下がっているが(写真下)、一見観音堂とは見えず、 近所でも観音堂の
ことを知らない人が多い。 第2次大戦のときには、緊急時の集会所となった。
当初の本尊は盗難で喪失。現在の聖観世音は後に新調されたもの。 また、堯観道心が
奉納したと思われる巡礼歌の書かれた額が現存している。
観音堂の裏は広い墓地になっており、風雨にさらされたものや最近に造られたものなど、
いくつもの石塔が立っている。無数の墓石の中にたたずんでいると、未知の世界に迷い込んだ
ような不思議な感覚にとらわれる。
敷地内の津久井家をはじめ8軒で管理。27番、 古庭観音堂の管理も同姓の津久井家であるが、
特に縁故関係があるわけではないという。古くは、何らかの身分的な関係があったとも推察される。
4月18日に 近い第2または第3日曜日に、 親族がお堂を開きお祝いをする。以前のにぎやか
だったときとは違い、 現在ではこぢんまりと内輪だけで催される。
<巡礼案内>
福寿堂(ふくじゅどう)
本尊:聖観音
〒376-0013 桐生市広沢町二丁目3099 無住
<納経所>
同寺 無住のため、ご朱印は堂前に設置してある箱の中。
緊急の場合の連絡先は、(有)津久善(TEL:0277-54-3625)。
観音堂の道沿い50メートル西。テナントがたくさん入っている建物の裏。
または、大雄院(TEL:0277-52-7781)。