第81番 安楽寺


80番から、すぐ北の川原商店のある小さな信号を西に折れる。国道407 号を突っ切りそのまま
100メートルほど行くと、住宅に囲まれながら右手に入る細い道がある。 その正面が安楽寺である。

交通量の激しい国道407号沿いに、このような閑静な寺院があることを知る人は、少ない。

ここだけが周辺の発展に影響されず、昔の面影を 伝える唯一の場所のように思える。

境内は広く、入口には簡素な山門、正面に本堂、東の奥に庫裡、そして、西側には薬師堂、その
後ろに墓地が広がる。

本堂は間口七間の入母屋造りで、大きな建物。内陣には、本尊の大日如来が安置されている。
左側の薬師堂は、墓地を守るかのようにこぢんまりと建つ。

創建は古文書が存在しないため不明であるが、歴代住職の墓地に立つ石仏に、元禄3年(1690)
などの年号が刻まれており、その当時には存在していたことがわかる。

明治5年に発布された学制によって、翌年、安楽寺に不倦舎が開校された。6歳から14歳までの
43人が学んだ。 これが現在の九合小学校の前身になるのである。本堂前の桜の木のそばには、
開校百年を記念して “不倦舎の跡”の碑が立つ。

<巡礼案内>
 紫雲山 安楽寺(あんらくじ) [真言宗豊山派] 本尊・阿弥陀如来
 〒373-0823 太田市西矢島町540-1 住職・古川真誠

<納経所>
 同寺 TEL:0276-45-1926

巡礼歌 『国を分け 野山をしのぎ 寺々に 詣れるひとを 助けましませ』