国道354号沿い、太田市と伊勢崎市の境を流れる早川の東岸に位置する。国道からは、大きな
本堂と茅葺の鐘楼が目立つ。鐘楼はかつて国道沿いにあったが、保存の関係上、山門際に移築した
ものである。
梵鐘は享保16年(1731)に鋳造されたもので、市の重要文化財になっている。いぼがないため
“いぼなしの鐘”とも呼ばれ、その音はいんいんと響き、聞く人の心を安らかにするという。かつて、
時刻を知らせたり、世良田祇園の山車の運行の合図に使われたりした。
この寺は、新田氏の祖、新田義重などの総領が館を構えた場所であり、“館の坊”と呼ばれる。
当時は36カ所の末寺を有した真言宗の学問所であった。
欅造りの小粋な山門を入ると、広い境内の正面に間口9間の雄大な本堂が建つ。北関東で有数の
大きさをもち、欄間の彫刻や天井絵に目を見張るものがある。
内陣には、本尊の十一面観音のほか、鎌倉時代の不動明王を祀る。
また、義貞(ぎてい)様と呼ばれる新田義貞像を安置しているため、毎年8月1日は、多くの参拝人が
訪れる。
庫裡は左側。小粋な門の中に優雅な雰囲気が漂う。
<巡礼案内>
威徳山 陀羅尼院 総持寺(そうじじ) [真言宗豊山派] 本尊・十一面観音
〒370-0426 太田市世良田町3201-6 住職・渋澤良恭
<納経所>
同寺(兼10番) TEL:0276-52-2194