桐生岩舟腺から松原橋を超え、国道50号を桐生方面に向かう。 すしおんどの手前の細い
道を左折する。
住宅に囲まれた道の先に、高い石段が見える。駐車場は石段の上り口に造られている。
石段を上ると、真新しい本堂が建つ。平成12年に再建された宝形造りの建物で、内陣には
阿弥陀如来を祀る。
本堂の手前に、こぢんまりと観音堂が建っている。小柄ではあるが、本堂と同様、 均整が
とれた美しいお堂である。
観音堂の背後には、桐生の町並みがかなたまで広がる。
この寺は、当初は修験寺であり、開基は彦部弥太郎だと言われている。彦部家には、
慶長16年(1611)彦部弥太郎が父と兄の供養のため、屋敷の北方にある手臼山の麓にこの寺を
建立したという、 伝承がある。
現在も彦部家の墓所は、本堂の裏の少し小高い一画にある。これは当時、彦部家が檀徒
として強大な力を持っていたことを示している。
本堂の右側のゆるい坂を登ると竹林に出る。その先の尾根一体に、33観音を表す石碑が
立っている。
市街地の騒がしさを忘れるかのように、山頂に祀られた石碑は、まるで観音の境地へ人々を
誘うようである。
<巡礼案内>
広沢山 福厳寺(ふくごんじ) [真言宗豊山派] 本尊・阿弥陀如来
〒376-0013 桐生市広沢町五丁目1662 住職・井口賢興
<納経所>
同寺 TEL:0277-54-9245